「そういえば、博士は何処にいるんだ?」
「発明の博覧会があるとかで朝早くに出かけていったわ。」
「ふーん。」
「丁度いいでしょ?もしもの時、博士が家にいれば多少困ったことになるわ。」
「まあな。」
「それより。ちゃんとあの子たちに、最後の挨拶をしてきた?」
「あー・・・。まあ、また転校するって言っといた。」
「遠くにって?もう会えないこともちゃんと?」
「・・・それは、まあ。うん、ほら。あいつらまだガキだし、さ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ・・・・。」
「あ、おい何だよそのため息。」
「いえ。何でもないわ。でも、そう。なんて言うのかしら。貴方って、意外にこどもよね。今の見た目だと特にそう思えてくるわ。」
「ほっとけ。」
「いやね。褒めているのに。」
「余計ショックだ。」
「あらそう。」
「当たり前だろ。こんなナリだけど頭脳はーって、俺の決め台詞あんのに。」
「真実はいつも一つ。じゃなくて?」
「それもある。」
「適当ね。」

「なあ。灰原。」
「何かしら。」
「いろいろ、ありがとな、今まで。」
「まるで最後のあいさつのようね。」
「最後だろ。俺がこの姿でいるのは。」
「・・・失敗するかもしれないのよ?」
「だから今言っとくんだ。今までありがとう。んで、今後もよろしく。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ・・・・。」
「おい何だよまたため息ついて。」
「いえ何でもないわ。ただ、そう、・・・。」
「こどもだって言いたいんだろ。」
「いいえ。貴方は、非道い人ね。本当に。」
「知ってる。」
「・・・もういいわ。さっさと飲むなりなんなりすれば。私ひとり気をはって、馬鹿みたいじゃないの。」
「悪いな。」
「謝らないで。余計虚しくなるわ。」
「そうか。じゃあやっぱり、ありがとなって言わないとな。」
「もう結構よ。それより、飲んだとき私は何をすればいいのかしら。」
「そうだなあ。じゃあ祈っててくれ。全てがうまくいくようにって。」
「何に?かみさまに?それともあくまでもいいのかしら?」
「勿論。お前が信じるものなら、なんでも。」

「そろそろ行くわね。何か欲しいものでもある?」
「特になんにもないけど。」
「そう。なら花束を買ってきてあげるわ。」
「は?何で?」
「貴方へのプレゼント。真っ白なスイートピーを。貴方の新たな門出を祝って。」
「ははっ!いいなそれ。楽しみができたよ。あり、」
「ありがとう。は、もういらないって言ったでしょ。」
「・・・・・・怒ってんのか?」
「いいえ。まさか。」
「目が笑ってないぞ灰原!」

「それじゃあ行くわね。」
「そういえば。空はどうだ?」
「空?」
「ああ、天気はいいかな。」
「そうね。とても良く晴れているわ。それにとても青い。」
「そっか。」
「どうかしたの?」
「いいや、何でもない。いってらっしゃい。灰原。」


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