季節はずれの五月の終わりにサンタが来た。
部屋の窓がひとつ開いていたからきっとそこから入ってきたのだろう。
煙突であったとしても立派な不法侵入だ。
サンタのくせに。

「こんばんは、少年」

そいつは大きな袋も赤鼻のトナカイも連れていなかった。
夢の欠片もありゃしない。
そのかわりサンタは大きなマントを靡かせてわずかな本の置かれたすき間に座って手招きした。

「なにか用」
「手を出してごらん」

言われるとおりに右手をさし出すとサンタはどこから取り出したのか、真っ白な布をその手にかぶせた。

「スリー、ツー、ワン、」

ゼロ!






「・・・・・・・なにこれ」
「赤い涙を流す、姫君さ」

胡散臭い笑みを浮かべてそいつは言った。
サンタのくせに。




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