そう息巻いて都市を散策したが、その成果は全くというほど何も無かった。上手く立ち回っているのか、視線は感じても人影はついに捉えることはできず、陽が暮れきる前に一旦ジープへ引き返した。そこでアレルヤと見張りを交互に行いながら、夜を過ごすことに。
今回の任務はあまり時間をかけることはできない。ソレスタルビーイングが世界に現れるまで、もう時間がない。民家で休む前に、アレルヤと話し合い、明日はなんらかの行動を起こすことに決めた。
シートにもたれ掛かりながら、想像とかけ離れたこの国の現状に唇を噛む。
この国には、何も無かった。草木も花々も、小川も噴水も。ビルも山も。何も。
ただ砂があるのみで、生き物は何もいない。
生命を潤す雨はほとんど降らず、種を植えようとも植物は芽を出すことなく干上がってしまう乾燥した気候。
生まれたときからこんな厳しい環境で生活していれば、超人的な存在に、神という存在に、せめて精神の安らぎを求めるのも理解はできる。この国の信仰深さは、すでに知っている。環境が厳しければ厳しいだけ、盲信していくことも。そして行き過ぎた信仰心が、悲劇を引き起こすことも。
己の信じる神の存在を認めないものを、不信仰者と断じ、関係のない人間の命を奪う。そんなことに、いったい何の意味があるというんだ。神のためなど、理由になどなりはしない。一度消えた命はもう二度ともどってはこない。絶対に。例え神であろうとも、許されることではない。
砂と太陽しかないこの亡国に、今なお居続けるなんて、とんだ狂信者どもだ。
明日、どのような行動をするかはアレルヤに言っていない。言えば反対されることは目に見えていた。ぎりぎりまで隠すか、強行するか。奴らの方から仕掛けてくれれば、何の問題も無いのだが、昼間の奴らの出方を鑑みれば期待薄だろう。
閉じた瞼の裏で、全てが奪われた日をえがく。全てを失った瞬間も、この場所と同じでとても熱かった。熱の種類は全く違うが。
ふと、この国とはまた違った国の、ずっと昔に存在したある国の法律の一節を思い出す。目には目を、歯には歯を。
命を奪うのは指一つ。奴らも、そして俺も。




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